「放てばまた満てり」

若い頃は、何事においても執着心が強かったように思う。

先行き不安なせいか、

「このチャンスを活かすんだ」

「この仕事は絶対取るんだ」

会社をやっている限り、常に存続していくことを考える。

社員にも安心させてあげたい。

しかしながら、イベント制作会社という世間にもなかなか認知されていないジャンルの業務は

個々のつながりからパイプを太くしていくしかない。

「仕事をお願いされる」立場なので、相手にとって安心でき、信用され、信頼され、当然クオリティ高く、専門の知識・経験が必要だ。

とにかく、目にみえる商品がない中、自分自身がどれだけ買っていただける「商品」になるかが勝負。

そのために、異業種交流会や勉強会で人脈を広げたり、取引先の行く居酒屋で待ち伏せしたり、

得意先のある街界隈を意味もなく歩き回ったり、できうることはなんでもした気がする。

今思えば、人生の曲がり角に「あの人」や「あの仕事」が私を助けてくれたことに気づく。

その時は必死で、曲がり角だったとは気づかなかったけれども、振り返ると、「あ〜あの時のあの人との出会いがなかったら、今の自分はないな」と思う。そう考えるとなんと不思議な縁があるものだと考える。

なので、私の前に現れている人々が私の人生を変える人かもしれないし、その人の向こうにいてるかもしれない、そう考えると必要な時に必要な人と出会うものなのかもしれない。

「放てばまた満てり」この言葉が好きだ。禅語だけれども、いろんな解釈があるけれども、

私の解釈は「固執しないということ」なのではないかと考える。

失うことを恐れずに、泰然と実直に、筋を通して前に進んでいれば必ず素敵な出会いがあり、人生が豊かになると信じている。