2020年

5年前のお盆だった

世間は新型コロナウィルスで、外出もままならない中、

僕は病院へと向かってた。下咽頭に腫瘍が見つかり生体検査の結果を聞きに行ったのだが、

あっさり「悪性のガン」です。

お医者さん「簡単に言うな〜」と感じたものだ。

ステージとしては初期だったせいかもしれないが、それでも気持ちは晴れない。

9月から放射線治療に通うことになる、32日間、毎日放射線を患部にあてる。

そのうち、口内炎、味覚障害などの副作用に悩まされる。

錠剤すら、喉を通らない。

食べ物に味がないというだけで、食欲はなくなるものなのだとその時感じた。

とにかく、何も美味しくないのだ。食欲がなくなると、食事の時間が楽しくない。

これには参った。いつまでこの状態が続くのだろう。

幸い、腫瘍は放射線のおかげて壊滅したようだが、副作用はなかなか去ってくれない。

「味覚障害はいつ治りますか?」必死の問いかけに「まぁ、半年か1年か、人によって違うからね・・・」

なんでも簡単に言う医者。

お盆になると思い出す。

あれから5年、その後の通院で問題ないので、9月になって寛解ということになる。

「味覚障害」はいつの間にか無くなって、今は美味しいものに幸せを感じている。