何でも屋さんー3
「1000人ツアー」
1980年代当時、スキーや沖縄ツアーなど、大学生が主催する若者ツアー花盛りだった。お客さんでありスタッフを兼ねた大学生が、たくさんの若者たちを集めて、夏は南へ。冬は、スキー地へ。
そんな時代背景があったからこそ、私たち何でも屋に「1000人ツアー」の話がやってきたのだろう。
「くにうみの祭典」が開催されている淡路島へ大型客船で1泊2日の船上イベントを兼ねたツアーだ。
結果は大失敗。1000人どころか、2割にも満たない若者しか集まらなかった。
スタッフの方が多かったぐらいだ。
後から考えたら、全くのノウハウがない若者が勢いだけで突っ走った結果が大失敗の原因だ。
イベントとは何たるかを知らないくせに、良い気になっていたのだろう。
運営計画、広報計画、予算配分、全てにおいて幼稚だった。
たくさんの方々に迷惑をかけたことに、今も胸が痛む。
その一方、天狗になっていた私たちが原点に戻る契機になったことも確かである。
私は、何でも屋さんを離れ、イベントの原点を学ぶべく、知り合いのイベント会社でのアルバイトの日々に勤しむことになる。
このままイベントを理解することなく、失敗したままでは自分自身を許せないと感じたからだ。
あれから、紆余曲折があったけれども、40年の歳月が過ぎ今もイベントでご飯を食べさせていただいている。
あの時の大失敗が糧になっていることは確かである。
