「忘れ得ぬ男」
人は、必要な時に必要な人と出会う。そう、言われているが、私の人生は、本当にそんなことの連続である。意識など全くしていない、けれども結果的にそんな人生の繰り返しで、50数年生きている。
私の人生でもキーマンになる人が何人もいるけれど、出会いを強烈に覚えている人は少ない。いつの日か、親しくなり付き合っている、そんな出会いが多い中、この男との出会いは忘れ得ないものだ。
会社を立ち上げて4年、しかし、業績はままならず、当時の創業者はこの会社を倒もうとしていた、私は、「自分の分身であるこの会社を簡単に閉めるわけにはいかない」そんな経緯で会社の代表となり、悪戦苦闘していた時期に、出会った人の一人だ。
はっきり言って、出会いは最悪。相手が困り果てている仕事を誰も受けないから、私にその受け皿が回ってきた感じ。
普通であれば、絶対受けないリスクのあるタイミングの仕事。
しかし、そんな状況でも受けざる得ない弊社の状況・・・・
まさしく、需要と供給バランスの一致ということだ。
とにかく、時間がない、予算がない、そんな状況下で、必死にやり遂げた仕事、おかげさまで、お互いになんとか評価もいただき、面目躍如となってからは、彼とは蜜月の月日が続いたものだ。
しかし、今考えると、一緒にいてた時期はおそらく2年程度だった気がする。
そんな戦友との付き合いも、ある意味、平時になると脆いもので、だんだん疎遠になっていき、彼は、東京へ、、、、、、
少しの寂しさと、安堵感の中で、月日は流れていく。
人の付き合いとは、案外そんなものかもしれない。
先日、彼が亡くなった。
随分、会っていない。
なのに、思い出させるのは、あの最悪の出会い。なんやこいつは、って思った出会いの瞬間が、昨日のことのように映像として浮かび上がる。
彼との出会いがなければ、今の私は、無い。
弊社もどうなっていたか、わからない。
私の人生の曲がり角に、突如現れ、私を引きずり回し、導いてくれた、忘れ得ない男。
私と一つしか違わない、若過ぎる死、、、
私は、彼との出会いを、今は感謝しつつ、
この男の残した他人の人生を劇的に変えるパワーは彼の天命だったのかもしれない、そういう想いにさせられるくらい突っ走ってた、
忘れ得ぬ、大切な友・・・・
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