「印度放浪」
久しぶりに聞いた藤原新也さんの名前に惹かれて、日曜美術館(NHK)という番組を見た。
「日曜美術館 死を想(おも)え、生を想(おも)え。 写真家・藤原新也の旅」
そうだ、この人の本を読んで印度に行きたくなって、行ったんだ。
23歳、大学の卒業旅行で選んだのが、インド。
初めての海外、それもひとり旅。
無謀が若者の特権とは言え、やはり今思うと何も考えずに、ただひたすらにインドへ行くことしか考えていなかったのだろう。
行きの飛行機と、帰りの飛行機だけ決めて、その間17日間は、気の向くままのフリープラン。
頼りは「地球の歩き方」1冊と、抗生物質をカバンに忍ばせて、トラベラーズチェックで換金。
本当に、よくぞ出国したな、と褒めてやりたい。
同じことは絶対できない。大人になって「無謀の怖さ」を知ったからかも知れない。
また、世の常識に慣れたせいかも知れない。
若さは、それゆえに未熟であり、リトマス紙のようであり、無鉄砲な存在だ。
印度で目にし、息をし、歩き、夢を見た。
潜在意識にしまっておいた、記憶の片々が、「藤原新也」の名とともに蘇る。
そうか、もう彼は78歳か、20も年上なんだ・・・・・・
35年前の記憶がスライド写真のように、ゆっくり、そして鮮明に浮かんでくる。
印度放浪は、僕の大きな大きな旅の1ページ。